耐検閲性や匿名性など、権力者(政府にしろ、ISPにしろ、親や恋人にしろ)は無条件に信頼できる存在ではないというところから立ち上がってきた性質は、権力者が線を引くことで存在する犯罪者という区分に寄り添わせようとする試みと相性がよくないしあまり相性がよくてはならないという根本的な難しさがある。
アパルトヘイト政策を終わらせるという活動に参加した、当時の権力者が引いた線では《犯罪者》になる人々を暗号が助けたことが最近話題になった。こうしたことを妨げることなく、「悪人が使うと穴が開く」暗号を作ることはできない。できるのは「誰が使っても穴が開く」ものだけで、善意にせよ悪意にせよ、権力者はときにそちらの方が広まることを望む。穴に気づくのは自分だけだと願いながら。
https://wired.jp/article/plaintext-you-can-now-see-the-code-that-ended-apartheid/