フランスだったかイタリアだったか、ともかくヨーロッパのどこかで
「葬式のあいだ、笑ってはいけない」
という遺言を残して死んだバアさんがいたという。
彼女は厳格なカトリックで、生前、誰の葬式であれ、わずかな談笑が発生するのが許せず、自分の葬式は厳密な意味で厳粛に行いたいと考えたらしい。
したがって、遺言には
「少しでも笑ったら遺産は渡さない」
と記した。
さて葬式当日。このルールを聞かされた遺族は互いにチラチラ監視し、牽制し、そのうちニヤニヤがこみあげてきて、誰かが耐えきれず笑い出し、最後には全員が爆笑したという。
遺産管理人は遺言通り、遺産を渡すまいとしたが、裁判官は
「笑ってはいけないという遺言そのものが笑いを誘発するのは避けがたく、この遺言は無効である」
と判決した。