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「やっと着いた……」
知り合いの家まで野菜を持っていくように言われた僕は、猛暑日の炎天下、数十分かけてこの家までやってきた。
とはいえ、もう何回もこんな感じのお使いは頼まれているので、しんどくはあるが慣れっこである。

なんでも、このアイカワさんとは僕が生まれる何代も前から交流が深かったらしい。しかし、むこうに自分と同じ代の人がいないので、特段僕が仲良くするような相手はいなかった。
のだが。

玄関を通ると、その先の庭にはいつもとは明らかに違う空間が広がっていた。
「あ……」
女の子だ。歳は自分と同じぐらいに見える。
何もすることがなくて退屈、とでも言いたげな顔をしながら、ビニールプールに足を投げてぱちゃぱちゃと水音を立てている。

「いつもごめんなさいね~。今度はうちから何か持ってってあげないとね」
「まあ僕も来るたびにいろいろもらってますし、そこまで気にしなくてもいいですよ。……そういえば外にいた子って」
「ああ、茜ちゃん?会うのは初めて?」

……などと話していると、どうやら彼女、藍川茜さんは僕と同じ代の子で、今年で18になるらしい。それを聞いて、最初同い年かと思った僕は少しだけ申し訳ない気持ちになった。

帰り際、茜は僕に向かって手を振り、「バイバイ」とだけ残した。

(かわいかったな……)

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